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〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.27 どこで、誰が、どんな思いで作った塩かを伝えたい

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。


【Vol.27 青山志穂さん/一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会代表】

 

塩の世界の奥深さに魅せられて

この7月、東京スカイツリータウン内にオープンした「ぐるぐるしゃかしゃか」。この店で、塩の新しい楽しみ方を提案しているのが青山志穂さんです。

「私の母はフルタイムで働きながらも料理に手を抜かない人で、朝も夜も手作りのおかずが5品以上並び、お弁当も毎日作ってくれていました。当時の私は食べること専門でしたが、美味しいものへの興味は知らず知らずに育んでいたのでしょう、就職活動では食の分野のメーカーを受けまくり、とある食品メーカーで働き始めました」。
担当したのは、営業、商品開発とマーケティング 。「パスタソースの開発でイタリアンについて勉強し、大変なこともありましたが知識と経験を深めることができました」。

2007年、会社を辞めて沖縄に移住。
「暖かいところで少しぼんやりしたくて沖縄を選んだのですが、何も考えずに過ごすうちに身体も心も回復し、また働きたいと思い始めた時に出会ったのが、塩の専門店だったのです」。石垣島でスタートした店が沖縄本島に進出するタイミングでプロジェクトに参加するうちに、塩への知識を深め、お客様により分かりやすく伝えたいと考えるように。「たくさんの産地や製法の異なる塩についてスタッフがお客様に説明できるようにとデータベースを作り始めたら、なぜ味も形も違うのだろう?と、どんどん興味が湧いてきて……。気づいたらどっぷりと塩の世界にハマっていました(笑)」。

産地の異なる塩をブレンドし自分だけの味に

塩には人間が生きていく上で欠かすことのできないミネラルが含まれ、世界中のほとんどの国で採られている大切な調味料。岩塩、海水塩、海水塩の一種で日本でしか作られていない藻塩、地下塩水塩、湖塩、そして再製加工塩、イオン交換塩とその種類は多岐にわたり、色も、結晶の形も、味も、驚くほど違います。

「これまでに塩の産地を訪れたことは400回以上。自宅には2400種類の塩をコレクションしています。例えばスペイン・バスク地方のアニャナ塩田は世界最古と言われ7000年前から塩を作っていました。近年になって地域振興のために塩づくりに力を入れ、地元の三つ星レストランからバルまでがその塩を使うことで注目が高まっています。

藻塩は、日本独自の伝統的な塩。海藻に付着した塩分を海水中に溶かして作るのですが、海藻ごとに旨味や風味が異なり、この新潟の藻塩を手掛けている方は、海藻以外にもカニやエビの殻、廃棄された紅花茶や山ブドウの絞りカスなど、色々な食材を使った塩作りに取り組んでいらっしゃいます。一方で高知の黒潮町には“塩作りの父”と慕われる素敵なおじさまがいて、その天日塩の製法が弟子たちに受け継がれ、広がりを見せています」。

産地や作り手ごとにストーリーがある塩が、それぞれどんな味でどんな料理に合うかを多くの人に知ってもらいたいと「日本ソルトコーディネーター協会」を立ち上げた青山さん。その活動の次のステップが、産地の異なる塩を混ぜて一人ひとりの好みに合った“自分だけの万能塩”を提案する店「ぐるぐるしゃかしゃか」でした。

「ローストビーフには〇〇産の塩、魚には〇〇産の塩、野菜には〇〇……と、自宅でいくつもの塩を使い分けるのは、なかなか難しいと思うのです。でも、例えばソースやドレッシングは、自分の好きな味のものをどんな料理にも使うでしょう? お客様の甘み、苦味、酸味のお好みを伺って、店内にある100種類の塩からブレンドすることでお気に入りの塩がキッチンに常備されていたら、料理をする時の気分も上がるのではないでしょうか」。

 

ダイヤモンドも塩も、かけがえのない地球の恵み

青山さんが国内外の塩の産地を訪れ、産地ごとに異なる味やストーリーを伝えることに情熱を注ぐように、サバースもまた、ダイヤモンドの産地に強いこだわりを持っています。美しくクオリティの高い原石を産出する産地としてサバースが選んだのは、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山。産地からお客様のもとに届くまでの道のりを明確にすることで品質の確かさを感じていただけるよう努力を重ねています。

「産地にこだわり、その物語を伝えることで魅力や価値をお伝えしていくという意味では、サバースのダイヤモンドと塩には共通するものを感じます。南アフリカやボツワナで採掘された原石がダイヤモンドになって、私たちが身に着けるネックレスやリングになるまでのお話を伺って、胸がキュンとなりました。そもそもダイヤモンドも塩も、大地や海から生まれる天然の結晶。パキスタンなどこれまで訪れた岩塩の産地では、近くで宝石も採れるという話を聞くこともあり、地球の恵みのありがたさや不思議さを感じました。個人的にはジュエリーは、祖母や母から受け継いだものであったり、旅先で購入したものだったり、一つ一つに宿る思い出やストーリーも込みで大切にしている宝物です」。

塩と人をつなぐ活動を続けてきた青山さん。この先はどんなビジョンを描いているのでしょうか。
「行きたい産地も、会いたい人も、まだまだたくさんあります。そして産地や作り手の物語を多くの方にお伝えするためには、私の分身となる伝え手を育てていくことも大切。塩に関する講座の受講生を育てていきたいと思っています。塩にこだわり、お気に入りの塩を身近に置くことでたくさんの方の気持ちが上がり、生活の質……クオリティ・オブ・ライフが向上していくと良いなと思っています」。

花弁と花芯、2つのペンダントを単体でも重ねても楽しめる「ペトロ」のネックレスを主役に、耳もとと手もとに、ダイヤモンドの煌めきを重ねて。

(左から)
ピアス/〈PG×ダイヤモンド〉¥1,045,000
リング/KIZUNA WOVEN™〈PG×ダイヤモンド〉¥1,386,000
ネックレス/Petro® 花弁モチーフ〈PG×ダイヤモンド〉¥418,000, 花芯モチーフ〈PG×ダイヤモンド〉¥528,000
リング/Premium Couture〈PG×ダイヤモンド〉¥1,320,000
リング/Premium Couture〈PG×ダイヤモンド〉¥1,210,000

青山志穂/ SHIHO AOYAMA

東京都出身。大学卒業後、食品メーカーにて営業、商品開発、マーケティング 担当を務める。2008年、沖縄の会社で塩の専門店事業部の責任者に2012年、一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会を設立、代表理事に就任。2024年、東京ソラマチにオープンした「ぐるぐるしゃかしゃか」の監修担当。『免疫力を高める塩レシピ』(あさ出版)他、著書多数。https://saltcoordinator.jp/