Vol.1 サザンアフリカ原産の花が教えてくれた、新しい世界の扉
ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密を伺いながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。
【Vol.1 畑野ひろ子さん/ モデル・フラワーライフスタイルプロデューサー】
キャリアを重ねても、常に発見があるモデルの仕事
初夏の日差しが注ぐ窓際で、フラワーベースに手際良く花をあしらいながら自身のこれまでを振り返った、畑野ひろ子さん。
「モデルの仕事を始めたのは17歳の時。原宿でスカウトされたのがきっかけです。両親は心配だったのでしょうね、最初は反対されましたが、新しいことに挑戦したいという私の気持ちの方が強くて、この世界に飛び込みました。初めての撮影は埼玉の片田舎からやってきた女子高生にとっては何もかもが衝撃的でしたね。 “世の中にこんなに綺麗な人たちがいるんだ!”というくらい美しい先輩モデルの方たちが次々とポーズを取るのを夢の中の出来事のように眺めていました。いざ自分がカメラの前に立つと、スタッフ全員の視線が自分に注がれて……最初は恐怖でしかなかったのですが、ラッキーなことにその物慣れない感じが“先輩OL 後輩OL”という企画の初々しい新人OL役にぴったりだと抜擢していただけました。それからは、とにかく先輩の動きをよく見て、色々な方にアドバイスもいただいて。そんな日々を過ごす中で気がついたら30年もモデルを続けています」。
時を重ねても美しい“ネイティブフラワー”の魅力
そんな畑野さんが花の世界と出会ったのは、長女を妊娠していた頃。
「10代からモデルとして駆け抜けてきて、趣味などまったくなかったのですが、初めての妊娠で大事をとって早めに仕事をセーブしたおかげでやっと自分の時間ができたんです。そんな時に主人が、フラワーアレンジメントに挑戦してみたら?と提案してくれました。もともと母が花が大好きで、幼い頃から常に周囲に花のある環境で育ったことを彼が知っていてくれたからかもしれません。そんな流れでお教室に行ってみたら、花と向き合い、無心になれる時間がとても心地良くて。私にはこういう時間が必要だったのだな、と初めて気づきました」
花をより美しくデコレーションすることに没頭できる楽しさに加え、完成したアレンジメントを飾ることで家も家族も明るくなることにも喜びを感じた畑野さんは、その体験をより多くの人とシェアしたい、と、フラワーライフスタイルプロデューサーに。
「私だけでなく働く女性はみんな忙しく時間に追われています。そんな中で自然の産物である花と触れ合うことの心地よさを、もっと多くの方に知っていただけたらと思っています」
畑野さんのレッスンのスタイルは個性尊重型。花材の扱い方など基本的なことはレクチャーし、相談や質問には丁寧に対応しますが、それぞれが自分らしい作品に仕上げることをコンセプトにしています。
「教室によっては先生のお手本通りに作りましょう、という教え方もありますが、私は生徒さん一人ひとりの個性や感覚を大切に、その人、その時にしかできないブーケやアレンジメントに仕上がればと思っています。同じ花材、同じ花器でもまったく違う作品が出来上がるのが面白いですね」。
つくり手の個性を生かしたレッスンは、子どもたちが花と触れ合うことで感受性や命の大切さを学び、心を豊かにするための “花育(はないく)”へと発展しました。
「何も考えずに無心で花と向き合う子どもたちは、ものすごくクリエイティブな作品を作り上げます。なるほどこういう考えでここにこのお花をあしらったのね、と、その一つ一つから性格や“人”が見えてくるんです。お花をきっかけに、人と人との繋がりの大切さも感じてもらえたらと思っています」。
そんな畑野さんが花の仕事に携わる中で出会い、夢中になっているのが、“ネイティブフラワー”です。南アフリカやオーストラリア、ニュージーランド原産の花々は、別名ワイルドフラワーとも呼ばれるように野性的で強いインパクトがあり、近年、人気が高まってきました。
「ある日、花市場で出会って、迫力のある存在感に釘付けになりました。一輪でも集合体でも絵になる見た目の面白さももちろんですが、ワイルドフラワーのもう一つの魅力は、枯れた後もドライフラワーとしてずっと楽しめること。一般的な生花がもつ、蕾から開花して散っていくまでの短い間にしか味わうことのできない美しさももちろん素晴らしいのですが、人間だって、年齢を重ねてこそ滲み出る色気や魅力があるでしょう? 南アフリカ産のキングプロテアなどは思わず“うわっ!”と声を挙げてしまいそうな、ちょっと独特なフォルムですが、私は生花の時よりも、枯れて色褪せてからの佇まいにものすごく惹かれています」。
サザンアフリカの大地のパワーを感じるダイヤモンド
「コロナ禍でパーティやイベントが自粛となった時、市場ではたくさんの花が余り、処分されてしまいました。生産者の方々が愛情を込めて育て上げたことを思うと、本当に胸が痛みました。そんな中で、枯れても、乾いても、その姿もまた美しいネイティブフラワーは、アレンジメントを作ったとき、贈ったとき、飾ったときの思い出とともに、ずっと長く楽しみ続けることができます。サステナブルという観点からも、時代に合っているのかもしれません。たとえばキングプロテアの、まるでアート作品のような鮮やかで力強い姿からは、南アフリカで育った植物ならではのパワーも感じられます」
畑野さんが愛するネイティブフラワーの多くは、SABIRTHのダイヤモンドと同じサザンアフリカ生まれ。SABIRTHでは品質の高いサザンアフリカ産のダイヤモンドにこだわり、鉱山での原石の採掘から研磨、ジュエリーに仕立てられてお客様のもとに届くまでの道程を責任をもって管理しています。
「数十億年の昔に地球の奥深くで生まれ、はるか遠いサザンアフリカから届いたダイヤモンドの輝きは、ネイティブフラワーに共通する大地のパワーを感じさせますね」。
そんな畑野さんにとって、ジュエリーとは?
「ダイヤモンドのジュエリーは年齢を重ねてもずっと身につけられますし、次の世代の娘たちに譲ることもできる究極のサステナブルアイテムではないでしょうか。ジュエリーを素敵につけこなしている人は、気持ちに余裕がある人。私は上の娘がやっと中学に入ったばかりで下の娘は小学生と子育ての真っ最中で、まだまだ余裕のない毎日ですが、記念日のたびにその後の人生の宝物になるようなアイテムを少しずつ増やしていくことができたらと思っています」。
モデルの仕事や花の仕事を通じて、これからトライしてみたいことは?
「ダイヤモンドもそうですが、お花も自然の産物ですので、ものすごく広いカラーレンジがあります。同じピンクの花でも季節や天候によって色は変わりますし、同じ産地でも生産者さんや畑によっても微妙に違います。そして青みがかったピンクが似合う人がいれば、サーモンピンクが似合う人もいます。さらに色と色を組み合わせたブーケやアレンジメントになれば組み合わせは無限大。そんな花の色を贈る相手の肌の色やファッションとコーディネートすることができたら、世界はもっと素敵に広がるのではないでしょうか。せっかく長くファッションの仕事をしてきたので、いつかお花とクロスオーバーさせる新しい取り組みができたらいいな、と思っています」。
笑顔で未来を語る畑野ひろ子さんは、ダイヤモンドのように明るく輝いていました。
南アフリカ産のキングプロテアを手にした畑野ひろ子さん。化学記号において「誕生」を意味するアイコニック”BIRTH”のピアスが横顔に華やかな煌めきを添えます。ペンダントはセンターのダイヤモンドの輝きが際立つデザイン。エタニティリングはあえてホワイトとイエローを重ねて、さりげない遊び心を演出しました。
ピアス/BIRTH〈Pt×ダイヤモンド〉
ネックレス/VICTORIA FALLS〈Pt×ダイヤモンド〉¥363,000
リング上/デビュ〈YG×ダイヤモンド〉¥326,700
リング下/デビュ〈Pt×ダイヤモンド〉¥326,700
【PROFILE】
畑野ひろ子 /HIROKO HATANO
ファッション雑誌「JJ」の専属モデルとしてデビューし、テレビドラマ、映画、CMなどに出演。結婚、出産を経て2007年よりフラワーライフスタイルプロデューサーとしても活動。2015年には『will Garden』を設立し、フラワーアレンジメントのスクール運営の他、花をきっかけとした教育や家族との関わり方などを提案する“花育”を行っている。