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Mine to Mine®
〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.11 広島の素材とつくり手が紡ぎ出すモード

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する女性に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。

 

【Vol.11 中神一栄さん/「NAKAGAMI」デザイナー 】

 

服づくりを縁の下で支えるパタンナーに憧れて

東京・中目黒のビルの一階に設けられたガラスのボックス。伝統的なアイテムに個性ある味付けを加えた服づくりで注目を集めるファッションブランド「NAKAGAMI」のブティックです。デザイナーの中神一栄さんは、広島市生まれ。
「幼い頃からの将来の夢は保母さんになることだったのです。それが、そろそろ進路を決めなくてはならない高校生の頃、親戚の集まりで大人たちから“一人っ子だし保母さんには向かないのでは?”と口々に言われてしまって……」

悩んだ末に見出した別の道が、ファッションの世界でした。
「当時読んでいたコレクション雑誌に載っていたコム デ ギャルソンの記事に“今回のコレクション成功の陰の大黒柱はパタンナーだ”という一文があって。パタンナーってどんな仕事なのだろう、と興味を持ったのがきっかけです」

パタンナーとは、デザイナーが描いたデザイン画を型紙に起こす仕事。デザインの意図を反映し、身に着ける人間の身体に添うよう人体構造や生地の特性を考慮して立体物に仕立てるための知識やセンスが求められます。「もともと絵を描くのは苦手なので、だったらデザイナーを縁の下で支えるパタンナーを目指そうとファッションの専門学校に進学しました」。

卒業後はアパレルメーカーに就職し、パタンナーとして4年間勤務。その後、ロンドンに留学します。
「この仕事をするのであれば海外を知っておきたいと思って、語学留学しました。ピーター イェンセンのもとでインターンとしてロンドンコレクションを体験することができたのは貴重な思い出です」。

その後、一年間のビザが切れ、故郷の広島へ。
「またロンドンに戻る日のための立て直し期間のつもりで、リクルートに入社しました。“ファッション関係の仕事”と聞いて編集職だと思っていたら営業職で、地元のブティックに飛び込み営業をする毎日でした」
ファッションデザイナーとしては異色の経歴だと評されるこの、広島での営業職時代。しかし向き合って思いを伝えることでものごとが進んでいく経験は、中神さんが現在もメールや電話でなく、地方の工場や職人のもとをまめに訪れ、向き合ってものづくりをする姿勢に繋がっています。

そして、2年間の営業職を経て、sacaiのパタンナーに。
「デザインをパターンに落とし込む作業は、ラリーのようでとても楽しく、勉強になりました。任せていただけることも嬉しいし、パターンに対する阿部さんの“最後の一押し”ともいうべき指示にはスゴいな、と感激したことも沢山ありました。3年間働かせていただくうちに、気付けば、高校生の頃に思い描いた“世界を股にかけた仕事をする”を実現させていただいていて。その後、「ファッションの仕事は辞めて、自分に何ができるかあらためて考えよう」と思い広島に帰ったのです。

地元、広島から発信することへのこだわり

中神さんの話からは、随所に故郷である広島への愛が感じられます。
「広島人は、とにかく地元が大好き、カープが大好き。故郷愛が強いのは、全国の都道府県でも屈指かもしれません。私たちが生まれる前のことではありますが、原爆を経てゼロスタートから復興したという誇りもあるのかもしれません。結束力の強さを感じますね」

ファッションブランドの多くは東京や大阪を拠点としていますが、地元の広島をベースに自らのブランドをスタートした中神さん。活動を続けるうちに地元の生地メーカーや工房とのコネクションも生まれました。
「私が手がける小さなブランドの規模感だと、発注できる量は限られてしまうのですが、広島県福山市の工場の方にとの出会いをきっかけに、生地屋さんやパリのオートクチュールブランドの仕事もされている刺繍屋さんなど、ご縁が広がっていきました。応援しよう、一緒にやろう、とおっしゃっていただけるのはありがたく、それだけに甘えないようにしなければとも思いながらお付き合いさせていただいています」

広島メイドの素材のなかでも世界的に知られているのが、福山市でつくられるデニムです。
「もともと福山では江戸時代から木綿や藍の栽培が奨励され、日本三大絣の一つである備後絣の産地として知られていました。その技術を継承して、デニム産業が盛んになったのだそう。私がお願いしているデニム工場は“テンセル混”という光沢のある上品なデニムを得意とされていて、カジュアルになり過ぎない、大人のデニム服にはぴったりなのです」。

広島と、東京・中目黒のフラッグシップブティックを行き来しながら活動を続けるうちに、時代が中神さんの仕事のスタイルに追いついたのか、リモートワークや二拠点生活が徐々に普及してきました。
「10年前は交通費もかかるのに、何でわざわざ二拠点生活を?という方もありましたが、ようやく理解していただき、やりやすくなってきましたね。ゆくゆくは広島にもブティックを置き、地元の素材や生産者さんとの交流も、もっと深めていくことができたらと考えています」

ダイヤモンドのように、人生を共に歩む服を目指して

フェミニンな中に独特な遊び心が感じられる「NAKAGAMI」のデニムウェアは、ダイヤモンドのジュエリーとコーディネートすることで、ラグジュアリーな大人らしさを醸し出します。
「ダイヤモンドの輝きは背筋を伸ばしてくれるし自信にもなります。ファッションや身に着ける人自身と溶け合って身体の一部となり、ずっとつけ続けられるようなシンプルなジュエリーが好きですね」

中神一栄さんが地元、広島のデニムに熱い思いを注ぐように、サバースもまた、品質の高いサザンアフリカ産のダイヤモンドにこだわっています。鉱山での原石の採掘から研磨、ジュエリーに仕立てられてお客様のもとに届くまでのプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を明確にすることはもちろん、デザインにもサザンアフリカに生育する動物や花々などのモチーフを取り入れています。

「同じ産地で採掘された同じ大きさや形のダイヤモンドでも、100粒あれば100通りの輝き方があると思うんです。遥かサザンアフリカの山地から多くの職人さんの手を経て自分のもとにたどり着いた一粒なのだと思うと、愛着も深まりますね」

中神さんがダイヤモンドのジュエリーに惹かれるもう一つの理由が、長く永遠に輝き続けること。

ファッションアイテムはシーズンごとに新作が発表され、トレンドの移り変わりが早いものと考えられがちですが、私はメンテナンスをしながら経年変化を楽しみ、長く大切に育てていくことができる服づくりを目指しています。定番のチュールにラバープリントを施したプリーツスカートは、履き続けていくとプリントが少しずつ剥がれていくのですが、その味わいをロックっぽくて格好いいと感じていただければ。服もジュエリーも、熟練の職人さんが誇りとこだわりを持って手がけたアイテムには、どこか温もりが感じられ、お気に入りとしてずっと愛し続けられるはず。私自身も今後もそんな服をつくり続けていきたいと思っています」

数多くの野生動物が生息する南アフリカのクルーガー国立公園から、愛らしいキリンと、丸まって外敵から身を守るセンザンコウ。

ブローチ/KRUGER(キリン) 左〈YG×Pt×ダイヤモンド〉¥792,000
ブローチ/KRUGER(センザンコウ) 右〈Pt×ダイヤモンド〉¥726,000

 

ブレスレットにリング、ダイヤモンドの煌めきを重ねることで、日常の手元に大人らしい華やぎを。

左から)
リング/ETERNITY〈YG×ダイヤモンド〉¥326,700
リング/ETERNITY〈Pt×ダイヤモンド〉¥399,300
リング/GOOD HOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥3,740,000
ブレスレット/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥913,000
ブレスレット/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥3,630,000

【PROFILE】
中神一栄/KAZUE NAKAGAMI

広島県生まれ。バンタンデザイン研究所卒業後、アイア株式会社にパタンナーとして入社し「ルーニィ」を担当、英国への語学留学を経て広島に帰郷。リクルートに営業職として2年間勤務。その後「sacai」にパタンナーとして勤務。退職後、広島を拠点に2013年に「ウェイ」立ち上げ、2019年に「NAKAGAMI」開始。
https://nakagami.black