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〜鉱山から私のもとに届くまで〜

Vol.15 産地ごとのつくり手の思いを、自由で美しい花束に

ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。


【Vol.15 宇田陽子さん/フラワーアーティスト】

花の色彩とかたちに感じる無限の可能性

東京・表参道の目抜き通りから少し入った静かなエリア。フラワーショップ「logi plants& flowers」は、その名の通り小さな路地の一隅にありました。ここを拠点に活動するフラワーアーティストの宇田陽子さんは、小学生の頃から“将来の夢はお花屋さん”と思い描いていたそう。
「とはいえ、母が専業主婦で幸せそうにしていたこともあり、私自身も手に職を持って社会の中で仕事を続ける未来を具体的には想像できずに過ごしていました」
ファッションも好きだったこともあり、服飾系の短期大学に進学。その時にカラーリングの勉強にとフラワーショップでアルバイトを始めたのが、この道に進むきっかけとなりました。
「服をつくるのも好きでしたが、花の世界には、全然違う楽しさがありました。自然の素材である花は、同じ種類でも一輪ずつ違いますし、日によっても表情が異なります。お客様のリクエストや自分のその時の感覚で色も大きさも形も異なる花と花を組み合わせていくことで、無限の可能性が広がるんです」

花の世界に魅了された宇田さんは、卒業後もそのままフラワーショップで働きながら、休日には他の花屋さんを見て回るように。
「私が働いていたのは大阪のフラワーショップさんでしたが、やっぱり最先端は東京だろう、と東京まで出かけては気になるお店をチェックしていました。そんな時に出会ったのが、代官山のマチルダ。花材を冷蔵庫にしまっていないスタイルの花屋さんは当時としては画期的で、お話を伺ってみたところ、大阪に出店する予定があるから働いてみませんか、と声をかけていただいたのです」。

こうして⼤阪店でマネージャーとして3店舗の統括した後、上京し本店で経験を積み、2004年に独⽴。
「最初は自宅と作業場を兼ねていたのですが、植栽のお手伝いをした雑誌の編集部から事務所の一階でお花屋さんをやれば、とおっしゃっていただき、店舗を構えることに。人の縁に恵まれていると思います」。

それぞれの花のつくり手の、真摯な思いに触れて

「logi plants&flowers」には、色も個性もさまざまな花が並んでいます。
「個性的な花は一輪でも新鮮な驚きを与えることができますが、見たことのある花でも“見たことのない組み合わせ”に仕上げることはできます。生産者さんたちの努力で新しい花もどんどん増えているので、楽しみは尽きることがありません」

花を素材にした作品を創造するにあたって宇田さんが大切にしているのが、全国の産地で花を育てる生産者との繋がりです
「たとえば、私が一番好きな花であるアンスリウム。南国の花として知られ以前は輸入物が中心でしたが、今は国内で手掛ける生産者さんが増えています。豊橋の生産者さんが手がける“ウィスパー”という品種は白いアンスリウムの中でも本当に真っ白で、ウェディングブーケのポイントとして入れるとすごく映えるのです。一方で長野の堀木農園さんの“パリス”というバラなどは、つくり手がロックなマインドの方なせいか、ラブリーなだけに終わらないエッジのきいたバラで面白いですよ」

普段は都内の市場で、お気に入りの産地や生産者の花材を選んでいる宇田さんですが、時には産地まで足を運びます。
「ニューヨークから来日したフラワーアーティストの方が日本の花づくりの現場が見たいということでアテンドした時も、日本の花の品質はスペシャルだと驚いていて、何だか誇らしかったですね」。

それぞれの産地で丁寧に愛情を込めて育て上げられていく過程を知ることで、思いを新たにすることも。
一本一本丁寧に箱詰めしていく作業を見ると、こちらもお客様の手にわたって飾られる最後まで心を込めないといけないとあらためて感じます。大きさや長さが揃った規格品でないと流通ルートに乗せられないのだそうですが、規格外になってしまう花の方が個性的で格好いいと思うことも。そんな考え方はつくり手の方たちにとっても新鮮なようですし、素材を生かす方法を一緒に考えていけると良いなと思っています」

花もダイヤモンドも来歴のストーリーを知って選びたい

自由な発想と独自の感性で、個性を生かし組み合わされた花々は、肩に掛けて持ち運びのできるフラワーバッグにおさめられます。そして「logi plants&flowers」が多くのファンに支持されるもう一つの理由が、花の持ちの良さ。

切り花は、最初の水上げが肝心。長く楽しんでいただけるよう丁寧に処理していますが、そもそも持ちが良い国産の花を選んでいるのも大きいです。土で育てるのか水耕栽培か、肥料をどのタイミングであげるのか、それぞれの生産者さんが工夫されています。お客様にも花の産地や生産者の話をすると、皆さん興味を持ってくださいますね。たまたま出身地の花だったりすると、驚いたり喜ばれたり。熊本で結婚式を挙げる花嫁のために、地元産のかすみ草を使ったブーケをお届けしたこともありました」。

宇田陽子さんが産地ごとの生産者の思いを大切にしているように、サバースもまた、サザンアフリカで採掘されたダイヤモンドがお客様のもとに届くまでのプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)にこだわり、携わる人々の思いとともにお届けしています。

「野菜などの食べ物は産地にこだわり、つくり手の顔が見えるものを食べたいと意識する人が多くなりましたが、そろそろ花やジュエリー、ファッションアイテムも、どこで生産され誰が手がけたかを語れるものを選んでいきたいと思います。ダイヤモンドの輝きは気分が上がりますね。今日は手が嬉しがっていました」

普段から作業の時もネイルやジュエリーは欠かさない、という宇田さん。
「以前、ヘアサロンの一角を間借りしていた時に、スタイリストの方がカラーリングの時もエプロンをしないので、“汚れませんか?”と聞いたところ、“服が汚れないように気をつけることで、作業も丁寧になるので”と言われたことがありました。それ以来私も見習って、仕事の場でも好きなファッションで、リングやネックレスもジャラジャラつけています」

いつかは本の出版や海外での創作活動にも挑戦したいと語ってくれた宇田さん。かつて の“お花屋さんになりたい”という夢を叶えたように、次の目標もきっと叶うことでしょう。

南十字星に希望峰。ダイヤモンドが生まれたサザンアフリカにインスピレーションを得たコレクションを自由にミックスして。リングを隣り合う二つの指につけるのもおすすめ。

ブレスレット/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥3,630,000
ペンダント/FOREVER STAR SOUTHERN CROSS〈Pt×ダイヤモンド〉¥2,200,000    
リング(左)GOOD HOPE〈Pt×ダイヤモンド〉¥3,740,000
リング(右)/ETERNITY〈Pt×ダイヤモンド〉¥326,700  

 

【PROFILE】
宇田陽子/YOKO UDA

大阪生まれ。花と植物の専門ショップを経て2004年に独立、フラワーコーディネーター として活動。2009年に表参道にlogi plants&flowersをオープン。2014年にはドライフラワー やプリザーブドフラワーにペイントなどを施したアートワークブランドを設立。空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花も幅広く手掛けている。

https://logi-plantsandflowers.katalok.ooo/en