Vol.16 ブドウと土地への愛を込めて、甲州ワインを世界へ
ものづくりの背景には、作り手の感性や技術とともに、産地へのこだわりやリスペクトの想いがあります。さまざまな分野で活躍する方々に輝きの秘密をうかがいながら、サザンアフリカのダイヤモンド鉱山で採掘された原石がダイヤモンドジュエリーとなるまでの確かなプロヴェナンス(来歴)とトレーサビリティ(生産履歴)を誇るSABIRTHとの共通項を探ります。
【Vol.16 三澤彩奈さん/ワイン醸造家】
甲州らしく日本らしい唯一無二のワインを目指して
日本を代表するブドウの産地である、山梨県。三澤彩奈さんはこの地で1923年に創業し、100年目の節目を迎えている中央葡萄酒(グレイスワイン)株式会社を営む家に生まれ育ちました。
「幼い頃から祖父や父のワインづくりを見て育ちましたし、日本酒よりワインの方が安かったという土地柄もあるのでしょうか、この地域ではお酒と言えばワインという環境で、将来は何かしらワインに携わる仕事をしたいとは思っていました」
そんな三澤さんがワインづくりを目指したきっかけは、父と出かけたマレーシアのレストランでのこと。
「マンダリンオリエンタルホテルのモダンジャパニーズのレストランで、ソムリエから外国人ご夫妻を紹介されたのです。観光での滞在なら色々なレストランを食べ歩くのが普通ですが、そのご夫妻は私たちがつくる『グレイス甲州』を気に入って、それを飲むために3日間続けて同じこのレストランに通ってくださっているとのこと。
奥様がおっしゃった“このワインは、味もラベルも、すべてが日本を表現しているかのよう”という言葉に強い感銘を受けたのです」。
地元、山梨の“甲州ブドウ”から生まれるワインで“日本らしさ”を表現したい。そんな思いでボルドー大学に留学。
「フランスをはじめ世界中からワイナリーの出身者が集まっているのも刺激になりました。フランス語には苦労しましたが、ワインの醸造はすべてが科学的に裏付けされていて、子どもの頃から父の側で見聞きしてきたことが、あらためて腑に落ちることも多かったですね」。
ボルドー大学の課程を終えた後はブルゴーニュに拠点を移し、専門学校に1年。さらに南アフリカのステレンボッシュ大学大学院に留学。
「ワインづくりはブドウの栽培が8割、醸造が2割と言われる世界なのですが、フランスで学んでいる時もブドウのテキストは南アフリカのものが使われていたこともありました。ヨーロッパの伝統と、新世界の革新的なアプローチの両方を知っておきたいと思っての南アフリカ留学でした」。
豊かな季節と職人の技が生みだす美味
中央葡萄酒のブドウ畑がある山梨県北杜市明野町は、標高680mの高地。日照時間が日本一長いと言われ、昼夜の寒暖の温度差があることからも、ブドウ栽培に適した地として知られています。
「かつて甲州ブドウには、糖度が上がりにくいという性質がありました。ワインに適した糖度のブドウづくりを目指して、試行錯誤が続きました」。
棚を用いないヨーロッパ式の垣根栽培や、水はけの良い南アフリカ式の高畝栽培を取り入れる中で、ついに2012年に糖度が20度を超え、さらに翌年には自然変異のおかげか糖度25度の甲州ブドウも現れ始めました。
このブドウも含めて仕込んだ「キュヴェ三澤 明野甲州2013」は、2014年、ロンドンで開催された世界最大級のワインコンクール「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード」で日本初の金賞を受賞しました。
「家族経営の小さなワイナリーを、皆さんに知っていただくきっかけになりました。世界のワインと比べられて評価が厳しくなった一面もありますが、世界の舞台に立つことができたのは嬉しかったですね」
三沢さんが考える、山梨らしく日本らしいワインとは?
「私が学び、働いた国の中には、日本ほど鮮やかに季節が変わる国はありませんでした。二十四節気と言われほどの風土で、器用で丁寧な日本人のクラフトマンシップでつくられるワインには、日本ならではの宝と伸びしろがあると思っています」
ワインもジュエリーも、記念日を幸福に輝かせるアイテム
茅ヶ岳の麓に広がるブドウ畑に実るブドウたちを“畑のダイヤモンド”と呼んで慈しむ三澤彩奈さん。
「日本のワイン醸造は技巧に走りがちな面がありますが、醸造はあくまでブドウの品種や土地の個性を引き出すもの。誰かのコピーではなく、山梨という産地のオリジナリティを大切にしたいと考えています」。
ワインのつくり手が、産地の土壌や気候を反映した味や香りに誇りを持つように、サバースのダイヤモンドもサザンアフリカの鉱山から採掘された原石にこだわり、研磨からジュエリーへの仕立てまですべての行程を追跡できるトレーサビリティを大切にしています。
「私にとっても思い出深い南アフリカで採掘されたダイヤモンドだと思うと、親近感が沸きますね。我が家も代々、ブドウ畑を受け継いでワインを醸造していますが、ジュエリーも次の世代へと受け継ぎながら楽しめるアイテム。中でもダイヤモンドは別格で、どんな女性も受け継ぎ、贈られると目がキラッと輝きますよね。私自身も祖父のダイヤモンドのカフスをリングにリフォームしてつけたりしています」。
一方でワインもダイヤモンドのジュエリーも、記念日などの晴れの場面で贈り、楽しむという共通項もあります。
「ワインもジュエリーも、なくても生きていくことのできる嗜好品ではありますが、生活に癒しと歓びを与える文化的な要素を持っています。当社では数年前から銘柄もラベルも一新、熟成できるスタイルのワイン『三澤甲州』にも取り組んでいます。ブドウの品種や土地の個性を引き出したワインが時を重ね、飲み頃を迎えたワインとして記念日に楽しんでいただけるようになったら嬉しいですね」。
基本のイニシャルデザインをベースに石の大きさなどをカスタマイズできるイニシャルペンダント。耳もとや手もとにも煌めきを重ねて、自分らしいダイヤモンドジュエリーの楽しみを。
ペンダント/プレミアムクチュール「A」〈Pt×ダイヤモンド〉¥1,210,000〜
イヤリング/Liaison®〈Pt×ダイヤモンド〉¥891,000
リング/ORANGE RIVER〈Pt×ダイヤモンド〉¥616,000
【PROFILE】
三澤彩奈/AYANA MISAWA
中央葡萄酒株式会社4代目オーナー、三澤茂計の長女として生まれる。ボルドー大学ワイン醸造学部を卒業後、南アフリカ・ステレンボッシュ大学院で学び、さらにニュージーランド、オーストラリアなどのワイナリーで研鑽を積む。中央葡萄酒株式会社に入社後の2014年、世界最大級のワインコンクール「Decanter World Wine Awards」にて日本ワイン初の金賞を受賞。以来、5年連続で金賞受賞。
https://www.grace-wine.com